令和6年教育・スポーツ委員会 本文 2024-06-26


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【黒田太郎委員】
 教育分野から一つ、スポーツ分野から一つ質問する。
 まず、教育である。人工呼吸器を使用している子供が県立特別支援学校で医療的ケアを開始するには、申請書類を用意して校長会で検討会後、医療的ケア連絡協議会で諮るなど、手続に時間がかかり、保護者が半年ほど付き添うと聞いた。
 そこで聞くが、県立特別支援学校において医療的ケアを実施する場合、どのような手続が必要なのか。また、人工呼吸器を使用する子供の場合、医療的ケアの手続に時間がかかるのはどうしてなのか。

【特別支援教育課担当課長(特別支援教育)】
 医療的ケアを実施するまでの手続であるが、保護者から申請書や医師の指示書等の関係書類を提出してもらい、まず児童生徒の実態把握をした上で、校内委員会において個別のマニュアルを策定する。
 次に、医師による看護師の手順等の研修の後、保護者の前で学校看護師による医療的ケアを試行して、保護者の同意を得た上で実施を決定している。
 ただし、人工呼吸器は使用する児童生徒の症状により機種や設定も異なり、また自発呼吸の有無や急変のリスクなど、児童生徒一人一人の状況が異なっていることから、県の医療的ケア連絡協議会において、学校長等の教育関係者だけでなく、医療的ケア指導医等の専門的な知識を持つ医療関係者も交え、個別の児童生徒ごとに内容を審議している。
 そのため、人工呼吸器を使用している児童生徒については、審議を必要としないほかの医療的ケアに比べ手続に時間を要している。

【黒田太郎委員】
 必要な手続については理解したが、半年の付き添いは負担が大き過ぎると思う。県として、県立特別支援学校における医療的ケアの手続について、短縮や簡略化するなど今後見直しをする予定はあるか。

【特別支援教育課担当課長(特別支援教育)】
 これまでも、県の医療的ケア連絡協議会における意見や他の自治体の実施状況を参考にして、新規で行う医療的ケアをスムーズに開始できるようにするための改善を進めている。
 2022年度からは、主治医が認めた場合は、主治医が行う看護師への手順等の研修を、学校の医療的ケア指導医による研修とすることができるように改善した。また、2023年度からは医療的ケアの内容が比較的簡易で、看護師が研修することなく、安全に実施できると主治医及び医療的ケア指導医が認め、保護者及び学校から研修の希望がない場合は、主治医及び医療的ケア指導医による看護師の研修を不要としている。
 さらに、医療的ケア連絡協議会において、真に審議が必要なものを整理し、より安全かつ早期に学校における医療的ケアを開始できるよう、県立特別支援学校における医療的ケアガイドラインを策定することとした。準備会議を昨年度から実施しており、今年度は検討会議を開き、年度末までに策定する。これにより、人工呼吸器を含め、協議会に諮る必要のないものについて、ガイドラインを基に学校で判断できるようになることから、速やかに医療的ケアを始められると考えている。

【黒田太郎委員】
 改善が図られていることについては高く評価をしたいと思うが、ガイドラインの策定が年度末ということについて、もう少し早めることはできないか。

【特別支援教育課担当課長(特別支援教育)】
 人工呼吸器を使用する児童生徒の医療的ケアについて、万が一のときは生命に関わることから、医療的な知見も十分に踏まえた上で進めていく必要がある。
 昨年度は、ガイドラインの策定に向けて準備会議を2月に開催し、課題整理や方策等について検討し、今年度は8月と12月の年2回検討会議を開催して、策定に向けた検討を進めていく。
 また、今年6月、10月、2月の年3回開催予定の医療的ケア連絡協議会とも連携を図り、そこに参加する多くの専門的な知識を持つ医療関係者や教育関係者にも、検討会議で出た意見等を共有して、専門的な助言等も受け、内容を確認して基準を定めるなど、丁寧に策定作業を進めていきたい。
 こうしたことから、策定時期については今年度の2月以降となる見込みである。来年4月からの施行を予定しているので、今年度のできるだけ早い時期に学校や関係機関等に周知していく。

【黒田太郎委員】
 いろいろ検討していることが分かったので、難しいことを百も承知の上で要望する。答弁にあったように人の命に関わることであるから、検討は慎重に慎重を期してだと思う。
 その一方で、生徒やその家族には生活という現実に日々直面しているわけであるから、どちらに偏っても駄目で、両方やらないといけない。慎重にやりながらも、早くやらなければいけないという大変難しいことではあるが、そこをあえて要望したいと思う。
 次に、あいちスポーツイノベーションプロジェクトについてである。
 国が令和4年に策定した第3期スポーツ基本計画では、スポーツの成長産業化として2018年に約9兆円であったスポーツ市場規模を、2025年までに15兆円にするという目標を掲げている。
 このような流れの中で、愛知県では社会課題の解決と地域活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指す革新事業創造戦略の枠組みにより、昨年12月に中日新聞社からの提案であるあいちスポーツイノベーションプロジェクトを採択した。このプロジェクトは、スポーツの成長産業化、スポーツを通じた地域の活性化を目指す意欲的な取組であると認識している。
 プロジェクトを進めるには多くの関係団体に参画してもらうことが重要である。推進母体としてのあいちスポーツイノベーションコンソーシアムAiSIAが今月設立されたが、AiSIAはどのような組織か。

【スポーツ振興課担当課長(調整・スポーツイノベーション推進)】
 6月11日に設立したあいちスポーツイノベーションコンソーシアムAiSIAは、今年10月のSTATION Aiのオープン、来年7月のIGアリーナの開業、2026年秋のアジア競技大会及びアジアパラ競技大会の開催などを起爆剤として、スポーツに関係した革新的な事業や新サービスを創出することで、スポーツの成長産業化及びスポーツを通じた地域活性化を図ることを目的とするものである。
 設立時点では、中日ドラゴンズや名古屋グランパスなど、スポーツチーム14団体に加えて、競技団体、大学、経済団体、行政機関、企業など計75団体が参画している。また、設立後も参加への意向を示す問合せがある。  こうしたAiSIAの会員が中心となって、スポーツの成長産業化、スポーツを通じた地域活性化に向け連携した取組を進めていきたい。

【黒田太郎委員】
 既に多くの団体が参画しているとのことだが、あいちスポーツイノベーションコンソーシアムAiSIAを中心としてあいちスポーツイノベーションプロジェクトとしては、どのような取組を行っていくのか。

【スポーツ振興課担当課長(調整・スポーツイノベーション推進)】
 AiSIAでは、参画する会員相互間で連携しながら、愛知県のスポーツから新たなイノベーションを巻き起こしていくために、三つの柱を推進していきたい。
 まず柱の一つ目は、スポーツ産業を支える人材の育成である。マネジメント人材の育成、スポーツ産業の高度化を担う人材の育成などに取り組むものであり、大学生等を対象にスポーツ人材を育成する連続講座をスポーツチーム等と連携して開催する。
 続いて柱の二つ目は、アスリート、スポーツチームの価値向上である。スポーツ事業の高付加価値化やスポーツのブランド化に取り組むものであり、初年度の取組としてはスポーツチーム共通の課題である集客力の向上に着目した実証事業などに取り組んでいく。
 最後に柱の三つ目は、スポーツと他産業の融合である。異分野や異業種の技術、アイデアなどを組み合わせて新たな価値を生み出すオープンイノベーションを通じて、スポーツによる他産業の高付加価値化やスポーツを通じた地域課題の解決を目指していく。

【黒田太郎委員】
 私としては、産業振興や地域活性化という視点から、AiSIAの目的に掲げられている革新的な事業、新サービスの創出に期待しており、先ほど説明のあった取組の中では、特に柱の三つ目、スポーツと他産業の融合に注目をしている。現時点ではどのような取組を想定しているのか。

【スポーツ振興課担当課長(調整・スポーツイノベーション推進)】
 柱の三つ目の取組としては、今年度、スポーツ関係団体、他産業、自治体等がそれぞれの技術やアイデアなどを持ち寄って、スポーツによる地域課題の解決を目指す取組を県のモデル事業として行うことを予定している。現在、AiSIAの会員等に対してモデル事業の提案を募集する準備を進めており、準備が整い次第事業を実施していきたい。
 具体的な取組については、公募案件の選定後となるが、教育や観光、地産地消など、幅広い分野からの提案が想定される。事業の提案を基に、スポーツと他産業が融合した革新的な事業、新サービスの創出を目指していく。

【黒田太郎委員】
 ここ愛知県は、プロチーム、実業団チームなど多くのスポーツチームが存在しているし、また歴史ある大相撲や世界最大の女子マラソンとしてギネス世界記録にも認定されているウィメンズマラソンなど、多くのスポーツイベントが開催されており、スポーツの成長産業化に関しては非常に高いポテンシャルを持っていると考えている。
 愛知県のスポーツの成長産業化に向けて、今後どのようにこのプロジェクトを進めていくのか。

【スポーツ振興課担当課長(調整・スポーツイノベーション推進)】
 今年度は、スポーツチーム共通の課題である集客力の向上に関し、事業、サービスの提案を広く募集し、選定した上で、試合会場等での実証支援を行っていく。
 こうした実証支援をモデル的に行いながら、集客力向上につなげていくことで、先ほど答弁したスポーツと他産業の融合の面においても、好循環が生まれることが期待できる。
 委員指摘のとおり、愛知県のスポーツ産業は高いポテンシャルを持っているので、異分野や異業種の技術、アイデアなどを組み合わせて、新たな価値を生み出すオープンイノベーションの手法も効果的に用いながら、愛知のスポーツの成長産業化、スポーツを通じた地域の活性化に向けて、AiSIAの会員と共に本プロジェクトを推進していく。

【黒田太郎委員】
 それでは、要望する。すばらしい取組だと思う。ただ、そうは言っても始まったばかりということで、成果が求められると思う。成果が出てくると予算も取れるようになって、よい循環になっていくと思うので、最初の成果はそんなに大きくなくてもよいと思うが、確実にこういう成果が出たということをまず取りに行くことを要望して発言を終わる。

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