令和4年県民環境委員会 本文 2022-12-12

【黒田太郎委員】
 12月定例議会の代表質問で聞いたカーボンニュートラル社会の実現に関する中小企業の地球温暖化対策について質問する。
 知事の答弁では、本県の温室効果ガス排出量のうち、中小企業が県全体の4分の1を占めていた。本年12月11日にパブリックコメントを終了したあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)の案を見ると、世界における脱炭素経営として、ESG投資の流れから、自社だけでなくサプライチェーン全体で温室効果ガスの排出量算定を求める動きを記載しており、大企業に製品を納める中小企業においても、排出量算定や削減対策の実施が求められる時代になりつつある。
 本県は中小企業を支援するため、2014年度から専門家が無料で企業訪問等により省エネルギー対策や温暖化対策のアドバイスを行う、あいち省エネ相談を実施しているが、相談件数、相談内容の詳細を伺う。

【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
 過去3年におけるあいち省エネルギー相談の相談件数は、新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年度が76件、2020年度が33件と、事業所での対面での相談が制限されたため件数が大きく減少したが、昨年度は74件と回復し、本年度は11月末現在で46件となっている。
 あいち省エネルギー相談の内容については、省エネルギーの取組方、カーボンニュートラルに向けた取組、省エネルギー診断の希望、補助金と大きく四つに分類でき、昨年度実績では、省エネルギーの取組方が約7割、次いで補助金の相談が約5割であった。省エネルギーの取組方に関する具体的な助言の内容としては、コンプレッサーの圧力の低減による使用電力の削減、空気配管からの漏れ防止といった省エネルギーに寄与する設備の運用面の改善や、照明器具のLED化、変圧器やコンプレッサーの高効率な設備への更新に関するものである。
 また、2019年度からは地球温暖化対策や省エネルギーの取組に関する情報発信をより広く行うため、中小事業者や市町村職員を対象に、省エネルギーの取組事例や補助金の紹介などをするあいち省エネセミナーを年に1回開催している。

【黒田太郎委員】
 知事の答弁では、本年8月以降、県内事業者に対し、再生可能エネルギー設備の導入やエネルギー消費効率の高い設備への更新を支援する補助制度を設け、多くの中小企業に利用してもらったとあったが、補助金に対しての応募実績を伺う。

【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
 本県では本年度、原油価格等の高騰に直面する県内事業者に対して、カーボンニュートラルの実現に資する再生可能エネルギー設備の導入、エネルギー消費効率の高い設備への更新に対する補助制度を設け、8月以降に募集を開始した。
 再生可能エネルギー設備の導入補助については、8月1日の募集から24日間で申請額が予算額に達したため、受付を終了し、36事業者に対して交付決定を行った。申請された事業計画では太陽光発電が36件、3,323キロワット、蓄電池が7件、90キロワットアワーを導入し、年間で1,477トンのCO2削減効果が見込まれる。
 エネルギー消費効率の高い設備への更新補助については、9月1日から募集を開始し、11月末までに33事業者に対して交付決定を行った。事業計画では年間で1,873トンのCO2削減効果が見込まれる。なお、この補助金については現在も募集中である。

【黒田太郎委員】
 知事の答弁では、先んじて対策に乗り出した企業の事例として、既にCO2削減対策に積極的に取り組み、自社で開発したシステムを他社に提供したり、培ったノウハウを生かして新たにコンサルティングを展開している企業を挙げたが、対策の中身や削減量など、具体的な内容を伺う。

【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
 この事例は、西三河地域にある自動車部品メーカーの事例である。具体的な取組内容は、生産設備に安価なセンサーを取り付け、送受信機と組み合わせた簡易システムを構築し、機械の稼働状況を自動的に収集して、これと10分ごとに取った電力消費量のデータを組み合わせることで、待機電力や停止電力といった無駄な電力消費を見える化し、その対策を取るものである。同社によると、当初の約半分が無駄な電力であり、2013年度と比較して年間22パーセントの電力消費量、年当たり1億2,000万円の電気代を削減している。
 また、削減対策はそれぞれの現場で考えるわけであるが、その具体例としては、短い休息時間でも機械のスイッチを切る、夜間の低負荷に適した小型コンプレッサーを導入するなどが挙げられている。
 さらに、社内で培ったノウハウを商品化し、2016年に新会社を設立して、外部企業の省エネルギー支援を実施しており、これまで約200社で同社が開発した安価なセンサーを活用した簡易システムを導入しているとのことである。

【黒田太郎委員】
 カーボンニュートラルの実現に向けては、産業の競争力を維持しながら新たな成長につなげていくことが必要である。そのため、中小企業への支援を前進させながら、中小企業に対して、脱炭素経営のメリットや成功事例を広く紹介し、中小企業がやる気を持ってこの問題に取り組める環境整備が鍵になる。中小企業が自発的かつ自立して取り組めるよう環境整備を進めることを要望する。

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